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東欧の想像力6
二つの伝説
ヨゼフ・シュクヴォレツキー[著]/石川達夫、平野清美[訳]
2009年10月9日発行
定価:1700円+税
四六判・ハードカバー・224ページ
ISBN:978-4-87984-288-6 C0397
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内容紹介

「ヨゼフ・シュクヴォレツキーは、私の意見では、現存の作家のうちで最も優れた作家の一人だ。彼の二編の中編『バスサクソフォン』と『エメケの伝説』を、私はジェイムズ・ジョイスの『死者たち』やヘンリー・ジェイムズの最良の中短編と同じくらい高く評価している。」──グレアム・グリーン

  チェコの作家シュクヴォレツキーの短編二編とエッセイ一編を収録した作品集。いずれのテキストも、作家が若いころに魅了された音楽・ジャズと深く関わっている。
  チェコはかつてナチスドイツに占領され、そののちにはスターリンのソ連の影響下に入ったが、そのふたつの全体主義体制がともに憎悪した音楽がジャズであった。「ジャズの本質は……生の躍進、つまりあらゆる真の芸術と同じような、息をのむほど爆発的な創造エネルギーであり」、「全体主義の観念論者は、全体的に統制できないため、……生への渇望の産物である芸術」を忌み嫌う、とシュクヴォレツキーは記している(エッセイ「レッド・ミュージック」より)。
  このチェコという特別な場所で歌いあげられた二つの伝説ともいうべき、中編小説「エメケの伝説」「バスサクソフォン」は、ナチスもソ連も憎悪した音楽・ジャズにのせて、満ち満ちる閉塞感のなかで、生がはかなくもきらめく一瞬をとらえる。


著者・訳者紹介

ヨゼフ・シュクヴォレツキー  Josef Škvorecký, (1924-2012)
  チェコの作家。1924年、東ボヘミア地方の町ナーホトで生まれる。
  プラハのカレル大学の哲学部(文学部)を卒業したのち、教師や編集者などを経て専業作家となる。
  1968年、「人間の顔をした社会主義」をスローガンに掲げた改革運動「プラハの春」が、ソ連を中心とするワルシャワ条約機構の軍事介入によって潰された事件の後、シュクヴォレツキーはカナダに亡命。カナダにおいては、トロント大学で教鞭を執りながらチェコ語での創作を続けた。代表作として『意気地なし』(1958)、『バビロンの話とその他の物語』(1967)、『人間の魂の技師の物語』(1977)などがある。
  シュクヴォレツキーはまた、夫人のズデナ・サリヴァロヴァーと共に、カナダで「68年出版 (Sixty-Eight Publishers)」という出版社を設立している。「プラハの春」の年にちなんだ社名をもつこの出版社は、チェコ本国で(当局の意向により)出版できないチェコ語の本を出す出版社で、シュクヴォレツキー自身の作品のほか、ボフミル・フラバルやミラン・クンデラの代表作含め、多数の本を出版している。

石川  達夫
  東京大学文学部卒業。プラハ・カレル大学留学の後、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
  現在、専修大学文学部教授。スラヴ文化論専攻。
  著書に、『チェコ民族再生運動─多様性の擁護、あるいは小民族の存在論』(岩波書店)、『マサリクとチェコの精神』(成文社、サントリー学芸賞および木村彰一賞)など。
  訳書に、フラバル『あまりにも騒がしい孤独』(松籟社)、チャペック『マサリクとの対話』(成文社)、『チャペックの犬と猫のお話』(河出文庫)、マサリク『ロシアとヨーロッパ』全3巻(U・Vは共訳、成文社)などがある。

平野  清美
  早稲田大学、プラハ・カレル大学卒業。
  著書に、『チェコとスロヴァキアを知るための56章』(共著、明石書店)。
  訳書に、プレスブルゲル『プラハ日記―アウシュヴィッツに消えたペトル少年の記録』(共訳、平凡社)などがある。


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